物忘れ・認知症

1. 物忘れと認知の変化

年齢とともに物忘れは起こります。
ただし、日常生活に支障が出るほどの記憶の問題や考え方の変化がある場合は注意が必要です。
軽い物忘れでも、原因によっては早めの診察が大切です。

2. 物忘れが気になるけれど

検査では異常がない場合
(SCD:主観的認知低下)

「最近物忘れが増えた」と本人は感じているが、簡単なチェックでは大きな問題は見つからない状態です。
この段階でも、将来的に軽い認知の問題(MCI:軽度認知障害)や認知症に進む可能性があります。

3. 軽い物忘れや認知の低下
(MCI:軽度認知障害)

記憶や判断力が少しだけ落ちている状態ですが、普段の生活はほとんど問題なく送れます。
毎年10〜15%の方が認知症に進むといわれています。
アルツハイマー型認知症の可能性がある場合は、新しいお薬(レカネマブ「レケンビ®」、ドナネマブ「ケサンラ®」)を点滴で使えるかどうかを調べるため、総合病院で詳しい検査を受けていただくことがあります。
導入自体は総合病院で行いますが、当院では導入後の点滴フォローアップが可能です。

4. 認知症の種類

代表的な認知症には以下があります:

アルツハイマー型認知症
物忘れが中心で、だんだん判断力や生活の工夫が難しくなります。
:財布やカギをどこに置いたか忘れる、同じ話を繰り返す

レビー小体型認知症
幻覚(目の前に人や動物が見える)
妄想(配偶者や周囲が自分に危害を加えると信じるなど)
手足の動きが遅くなる、歩きにくくなるなどの運動の変化
:夜に人や動物が見える、家族が自分を傷つけようとしていると信じる、歩くとき足がすくむ

血管性認知症
脳の血管トラブル(脳梗塞や脳出血など)によって起こる認知症です。
記憶の低下よりも、判断力や計画力、物事の切り替えのしにくさが目立つことがあります
特徴の例:物事の優先順位をつけるのが難しい、複数の作業を同時に進めにくい、状況に応じた柔軟な対応が難しい
発症は段階的で、時には一気に悪化することもあります

前頭側頭型認知症
性格や行動の変化が中心で、記憶の低下は初期はあまり目立ちません

前頭葉の障害による具体例
衝動的に大声を出したり、公共の場で不適切な行動をする(脱抑制)
無計画にお金を使う、無責任な発言をする
趣味や関心が極端に変わる(例:急に同じ作業や物に執着する)

5. 治療で改善が期待できる認知症

  • 慢性硬膜下血腫(頭の出血がたまる)
  • 正常圧水頭症(脳の中の水の流れの異常)
  • 甲状腺の働きが弱い場合やビタミン不足
    → 早く見つけて治療すれば改善することがあります。

6. 認知症の予防

最新の研究によると、生活習慣や健康管理を整えることで、認知症になるリスクを最大で約45%減らせる可能性があります。

当院では内科的な視点から、血圧・血糖・コレステロールの管理や、睡眠・栄養・運動などの生活習慣改善をサポートし、認知症の予防にも力を入れています。

早めの相談・定期チェックで、将来の認知症リスクを減らすことが期待できます。

物忘れや認知症の
相談・評価

必要に応じた
血液や画像の検査

内科的視点で
生活習慣改善や予防指導

レカネマブ「レケンビ®」、ドナネマブ「ケサンラ®」
導入後の点滴フォローアップが可能です

レカネマブ「レケンビ®」
ドナネマブ「ケサンラ®」
導入後の点滴フォローアップが可能です